ゲーム

「諸君に改めてあいさつしておこうかの。わしが今回のハンター試験審査委員会、代表責任者のネテロである」

今度は長い飛行船での移動になるようだ。挨拶が終わり、解散が告げられると皆疲れた顔で散っていった。

「ゴン、! 飛行船の中探検しようぜ」
「うん!!」
「いいよ」

まだ体力には余裕がある。あちこちお邪魔して怒られつつも、一通り見て回って展望室に落ち着く。眼下に広がる景色が綺麗だ。色々と話しをする。

「キルアのお父さんとお母さんは何をしている人なの?」
「殺し屋」
「二人とも?」
「夫婦で?」
「――あはははっ」

キルアが機嫌よく笑いだす。確かに中々こんな返しはされないだろう。でもどこまで本気かわかんないコ、というのは分る気がする。気まぐれで猫みたいで。キルアが一家の事を語り出した。これからは自由になれるんじゃないかな、と親を捕まえると話し、ゴンと笑いあうキルアを見て思う。

ところで、こちらを伺う気配が少し前からある。これは会長だ。何か用かと思っていると、一瞬気配を強くして、ゴンとキルアが反応するより速く反対側の通路へ素早く身を動かす。

「どうかしたかの?」

飄々と述べると、ゲームを持ちかけてきた。勝ったらライセンスをくれるらしい。広い部屋に移り、キルアがまず挑戦する。独特な歩法を使ったり、軸足に蹴りつけたりしたが、びくともしなかった。ゴンは素晴らしいジャンプ力を見せつけたが、自爆。その後も走り回るが取れない。…少しやってみたいことができた。

「ゴン、交代して」
「うん」
「どこからでもかかってくればよい」

ゴンとタッチして、油断しているネテロ会長の脇を瞬歩で通り抜ける。

「ひょっ」
「え?」
「あ!」

ボールは既に私の手の中だ。やはり念能力者にも瞬歩は通じるようだ。相手が本気ではないのも大きいのだろうが。

「なんだよ今の!?」
「すごいや、! 全然見えなかったよ!」
「ふむ、なかなかやりおる。合格じゃ」
「やった!」

これでライセンスカードをゲットした。詰め寄ってくる2人に瞬歩という歩法になのだと説明する。今度教えることになってしまった。そして、私が取れたことで2人に火がついたらしい。

「次はオレだ!」
「がんばって! キルア」

その後、順々に挑戦し、2人掛かりにもなったがなかなか取れず、真夜中を越して結構経つ。ついにキルアがギブアップをした。手加減に気付き、不満気だ。まだやるというゴンを置いて出て行ってしまう。なんだかざわついてるようなので追いかけようとするが、会長にとめられる。

といったか。できればこの後も試験にそのまま参加してくれんかの」
「何でですか?」
「その方が面白いじゃろう?」
「…いいですよ。待ってるだけも退屈ですから」

行ってよい、という会長に今度こそキルアを追いかけると、通路の先で2人組に絡まれていた。かなり苛立っているようで、殺気が漏れている。

「キルア! あっち行こう」

手を引っ張って無理やりその場を離れてしまう。しばらくそのまま走っていると落ち着いたのか、気配が柔らかくなった。

「…手、離せよ」

若干照れてそっぽを向いて言ってくる。可愛い。その後は、戻る気にもなれないようなので、空いてるスペースを見つけて一緒になって寝てしまった。